在宅・施設での看取りの本出版

在宅・施設での看取りの本出版    2016年6月25日分

 新しい本を出版しましたので紹介します。

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『在宅・施設での看取りー家族支援を中心にー』日本看護協会出版会。4人の現場で経験豊富な訪問看護師(私を除いて)で書きました。
 この本は、ちょうど10年前の2006年に『在宅での看取りのケア~家族支援を中心に~』を出版したが、この10年間の変化を踏まえて、前述の本の内容をもとに、新たなメンバーで見直し、在宅だけではなく生活の場(介護施設等)での『死』も視野に入れて新たな本としてまとめ上げたもの。

この間の変化
 この10年間を振り返ってみると、以下のような変化があった。
・『多死時代』に入った
 日本が、少子高齢化が進み『多死時代』に入った。年間100万人を超える人が死亡し、今後さらに増加し、2025年には160万人強の死亡が予測されている。
・地域包括ケアシステムの構築
 医療ニーズの高い要介護者が増加するし、医療と介護が同時に有機的に統合したケア・支援体制が必要となっている。
・在宅での看取りが社会的な課題
 国民の意識が変化してきたこと。『死』について真正面にとらえて、“自分の死のあり方”や“管を付けた生き方はしたくない”などと自分の生活のスタイルについて考え、発言する人が増えてきている。
・看多機サービス・ホームホスピスなどの新たな看取りの場
「在宅」「病院」「施設」ではなく、第4の居場所とでもいうべき“新たな居場所(生活の場)”“死までの時期を過ごす場所”ができ始めた。その例が『看多機サービス』や『ホームホスピス』『ナーシングホーム』などである。

新たな視点
 この本では、「在宅」だけではなく、「生活の場」という視点でまとめた。「医療の場」(原則、救命・治療優先)での死へのかかわりとは「生活の場」のかかわりはかなり違う。生活の場は、「自宅・在宅」だけではなく、特養ホームや有料老人ホームや看多機サービス、ホームホスピスなど「滞在」「泊まり」「宿泊」なども含めて幅広い。
 それぞれの場での『死の看取り』についてまとめた。
 また、著者も訪問看護師だけではなく、施設の看護職も加わって新たな顔ぶれで議論・討論しながらまとめた。

◆この本の特徴
①臨死期に焦点を合わせた
 この本は、ターミナルケアの中でも「臨死期」に焦点を合わせている。人生の最期の大事な時期を悔いなく過ごせるように、あるいは家族周囲の人たちが、悔いなく伴奏できるように記述している。
②現場の(訪問)看護師がまとめた
 日々、現場で在宅や施設でターミナルケアを実践している看護師がまとめた。
③「声かけ例」をたくさん盛り込んだ
 家族や周囲の人たちへの具体的な声掛けの例をたくさん盛り込んで、初心者でも使っていただけるように工夫した。
④失敗事例もふんだんに紹介
 実際の現場では、うまくかかわれない場合も少なくない。失敗例から学ぶことが多いので、あえて失敗例もたくさん掲載した。
⑤家族・介護職など周囲の人たちへの働きかけを中心に
 ターミナルケアは、本人へのかかわりと同時に家族・周囲への働きかけが重要である。この本では、主に家族・周囲の人たちへのかかわりを中心に述べている。
(はじめにより抜粋)
ぜひ、ご一読を!