認知症初期集中支援チーム

認知症初期集中支援チーム    2016年5月5日分

 政府が進める「認知症施策推進計画」の目玉が、認知症の初期から本人や家族を支える「認知症初期集中支援チーム」の創設だ。2014年にモデル事業で始まり、2015年から本格化し、2018年までに全国すべての自治体で実施するという計画である。
 私は、この事業を推進するための厚生労働省の研究班の検討委員としてずっとかかわらせていただいた。時にチーム員の研修会の講師として、またそのテキスト作成や様々な企画を考案するなど。

チーム員会議に参加して
 先日、ある自治体の『認知症初期集中支援チームのチーム員会議』に参加させていただいた。本人・家族・近隣住民などから相談があった“認知症の人”にチーム員が訪問し、必要な支援を開始し、その内容を集団で検討する会議である。医療職・福祉職が複数名での訪問でかかわる。誰からも放置されている人、誰をも拒否する人、急に生活態度や他の人とのかかわりが変わった人・・・などなど多様な相談である。
 今年度、始まったばかりでフレッシュなケースについて検討された。認知症である可能性が高いのか、診断はついているのか、サービスを受ける意志があるのか、誰が困っているのか・・・。

キャリアウーマンの高齢化

 参加しての感想の一つは、「なんと認知症の人が多いのか。また今後たいへんな時代になるなあ」ということだった。本人とのコミュニケーションがとりにくく、どのようにかかわって(支援する)いくのか。労力とスキル(技・力量)が求められる。ただ単に入所させればいいというとではない。地域でのびのびと安心して暮らしていけるように支援することが目標だ。大変なことだ。
 もう一つの感想は、“キャリアウーマンの高齢期”が多いこと。独身(あるいは離別・死別)でバリバリ働いてきた女性たちが、定年後それなりの生活・生き方をしてきたが、いよいよ認知症になってこれからどうするか?という場面に差し掛かった方々だ。子どもはいなく、甥や姪に何かの時のことを頼んではいるが、そうはいっても頼む方も頼まれる方も気持ちとお金がぎくしゃくしている。独居生活がやや困難な認知症状態になった時に今後どうするのかで、あっという間に時間が経ってしまってどうしようか・・・というような状況である。
 現在の85歳前後は、昭和ヒトケタ生まれ。女性がキャリアウーマンとして働くには非常に厳しい現実があり、現在では想像できないような状況だっただろう、それを乗り越えてきた方々の老後の現実である。
そういうケースが少なくない実態にさらに難しさを感じた。たいへんな時代がもう来ている。