6月25日

さくらんぼ農家の実情をみて考えること
 実家が山形のさくらんぼ農家なので、毎年この時期は数日親孝行の手伝いをする。山村の段々畑に何を植えようかと試行錯誤の上、40年くらい前に植えたさくらんぼが地元の特産物となっている。
 土作りから子どもを育てるように大事に育てるさくらんぼ。買って食べる側からすると高価なものだが、生産者側からすると儲けにならない構造がある。
 ①とにかく手がかかる。放っておいて実になるわけではなく、花が咲く時期の気温により受粉するかどうかが大きく影響するので、寒い日には周囲の気温を上げるために火をたく。受粉の媒介をする蜂を飼う。実になっても多すぎれば一個が大きくならないので選別をして滴下し、葉が多すぎると赤く色づかないので葉を取りと、とにかく手がかかる。
 ②設備費などにお金がかかる。雨に当たらないようにビニールハウスなど。
 ③気候その他で実のなり方・量が非常に微妙。読みにくい。
 ④収穫期間が非常に短い。せいぜい1~2週間。その間に集中。
 ⑤収穫に多くの人手が必要。1個1個手で摘み取るので、短期間に集中して人手が必要。その人手を確保するのが困難。木に実があるのに、穫り手がいないために木の上でだめにすることも。
 ⑥収穫期間が梅雨なので、天候不順で生産物がいたみやすい。
 ⑦出荷するのに選別しつめるのに、また手が必要。
 そんなことで、思うような確実な収入・もうけにならない。何よりも困っているは、農家の高齢化。確実なもうけにならないので若い人があとをつげない。このままさくらんぼ作りを継続できるかどうか・・・。実際、辞めてしまっている家もある。
 木を植えても実になって収入になるのには数年かかる。いい木をだめにしてしまうのが惜しいと思うが方法がない。
 それに、温暖化・・・。これについては兄が書いた文章を参照ください。

 我々の“さくらんぼ”作りは、山形の中でも特に土地と気候に恵まれた上にこよなく“さくらんぼ”に情熱を傾け、こだわりの味と品質を追求している集団です。地元の優良農家の指導を受け、収穫の面でも他家に負けずに見事に実りました。
 独自の土作りを施し有機肥料を用い、毎日のように“さくらんぼ”の木に声をかけています。努めて消毒の回数を減らしています。無登録農薬は一切使用してありません。単に甘いだけではなしに、酸味も含んだ幅広い・奥深い味を目指しております。

温暖化と果物
二酸化炭素の増加によって世界的に気温が上昇しています。植物の世界でも山形でも変化が起こっています。以前東北では無かった関東の樹木やら草花が繁殖したり、孟宗だけとかお茶の北限が山形を超えて秋田迄にのびたとか。
 ある説によれば、このままの状態が続けば20年後のさくらんぼの主産地は、北海道になるだろうと。山形は、これから蜜柑を植えて準備しておきなさいとのこと。本当かな。ついでにお茶も植えておこうか。さくらんぼもいつまで、送り続けられるのかな?
 温暖化の影響より、農家の老齢化が急激に進んでおります。廃業する人が続出です。皆様如何ですか。山形でさくらんぼ作りでもしませんか。大歓迎です。
                    (チェリー・ファーム 大沼直義)

 
 土をだめにし、作り方のコツが受け継がれていない日本の農業。さくらんぼだけでなく、自給率が低く、農薬だらけの日本の農業の今後を考えると、なにか取り返しがつかないことをしているのではないかと感じるのは、私だけではないでしょう。目先のこと、1年単位の収支の構造の経済中心の今の日本の社会。一地方自治体だけでなく、なにか大局的にみたあり方・政策が求められているのではないでしょうか。
 無心でさくらんぼを収穫しながら、そんなことを考えています。この生活もきょうまで。また東京でがんばらばければ。

■ブログは、なるべく“5”のつく日に更新するつもりです。よろしく!!
                
                             宮崎わかこ